はいどうもこんにちは、ミギーです!
今回紹介するのはNetflixジャパン制作の【Followers】(フォロワーズ)
SNSが普及した現代社会において直接的、間接的に影響しあっている人々を、2人の女性にフォーカスし現在の「TOKYOのリアル」を交えながら描く作品です。
最初に言っておきますね。
一言で言うと面白くなかったです。
私、蜷川実花ファンなのです。『さくらん』『ヘルタースケルター』『Diner』『人間失格』すべての作品を劇場で観ていて、蜷川実花展も何度か観に行ってます。
1話制作に1億円かかっているなどという話ですが、そのほとんどは役者と美術に費やされていて、
蜷川実花ワールドに染まった美術は良かった。
だけど!
肝心の中身が!!
どうも良くなかった!!!
まず残念なのがストーリー進行で、ドラマって「早く次のエピソードが観たい!」と思わせるのがいいドラマだと思っているのですが、それがなかった。また、人間関係の描き方も希薄だったように感じます。『 人間失格 』ではあれほど濃密に描かれていた人間関係が、だいぶ薄く感じました。
『リアルで新しいTOKYOの女性像』
はこのドラマにあったでしょうか。
設定はイマドキ、ファッションもおそらく最先端でしょう。
でもね、人間を描いているにしては全然人間臭さを感じません。
むしろドライで淡白だし希薄。上辺に見えてしまう描き方が残念過ぎます。
具体的にどのようなものだったのか、感想を交えて紹介します。ネタバレしておりますので、閲覧ご注意下さい。
結末ネタバレ~感情移入できないストーリー~
主人公は中谷美紀扮する人気写真家・奈良リミと、
池田エライザ演じる、女優・百田なつめ、2人の人生とその仲間たちの物語です。
奈良リミ編
輝く女性に贈られるウーマンアワード2019を奈良リミが受賞するところから話はスタートします。バリバリに仕事をする中で、とあるチョコレート菓子のスチール撮影にカメラテストのモデルとしてきた百田なつめ(池田エライザ)をInstagramにUP。仕事にも仲間にも恵まれていますが、
『子供が欲しい』と悩んでいます。
そんな時元カレの民生(浅野忠信)と再会。
不妊治療や精子バンクの話などを経ますが最終的に民生の子供を産みます。
出産後は仕事と育児の両立を図りますがうまくいかず、しかし周囲が自分を見つけていく中で、自分なりの生き方を見つけて終わり。
この主人公奈良リミは本気になったことはすべて完璧主義で「子育て」も「仕事」も100%で両立させようとするため精神的に苦しみます。
悩み疲れ、打ちひしがれるシーンがあるのですが、「なんかちょっと違う感」が漂っています
まずこの主人公ですが、とても恵まれています。子供がいれば父親は誰でもいい。だから夜遊びで出来た子供でも自分で産んで育てる。といった考え方なのですが、なんと仲間たちはその考え方を否定せずむしろ応援しています。
そんな仲間に恵まれていながら、なんと子育てだけは周囲に頼らないという抜けっぷり。
仕事辞めてガンも乗り越えたエリコとかに頼めなかったの??まっすぐな性格・頑張り過ぎてしまう性格なのかもしれませんが、
お金もあって理解ある仲間がいる。
そして支えてくれる両親もいる。
これだけ恵まれてて周囲に頼らないのなぜですか?と思ってしまいました。
現代の仕事と子育ての両立が難しいのは、家族環境の変化や共働きでも収入が低い、近所の支えもない中で行き場のない母親が多いからではないでしょうか?本人が悩み、自分の輝く道をこのドラマではとてもスムーズに見つけられてしまっています。(少なくともそのように見えました)
脚本家の方、仕事をしている女性が子供が欲しい、
また仕事をしながら育てる時に
問題となることを今一度真摯に見つめて下さい。
不妊治療にかかる平均金額をご存知ですか?
「ワンオペ育児」などの問題をご存知ですか?
結局本人が何を選び、どう両立させるかが大事と伝えたいのであれば、それ相応のシーンや葛藤があっても良いと思います。
奈良リミが悩んでいたのは、独りよがりの悩みばかりです。そのことに気づいたら周囲にもっと感謝したり頼ったりするなりのシーンあっても良くないのではと思ってしまいました。
百田なつめ編
売れない女優だったなつめですが、奈良リミ(中谷美紀)のInstagramにUPされたことで大ブレイクを果たします。親友のサニー(コムアイ)と衝突したり、YouTuberのヒラク(上杉柊平)と恋人となりケンカしたり、SNSで炎上騒ぎなど起こり、事務所を解約されますが、自主製作の映画がバズって再度復活して終わり。
無名だったモデルがSNSで火がつき、ブレイクする。現代っぽい感じでもありリアルな想像ができます。
しかし、売れない女優が初めての自主映画で(しかも結構お金かかりそうなやつ)1つ目の動画がバズって、かつタランティーノにDVD渡せて目に留まり、その後ハリウッドで映画を作ることになったって・・・
おおおおい!!!
急に”非現実的”これ!!!!
とツッコミどころが後半になるにつれて増えていきます。
せっかくのエライザが・・・体当たりの役も行けるし、繊細な表現もできる。いい芝居するのに、
エライザの生き殺しです
打ちひしがれ、葛藤し、苦悩の末に成功の涙を流したエライザに全然感情移入できないのが残念でなりません。
私の感受性の問題でしょうか。泣けたという感想をした方が多くいるのであれば、この感想は撤回します。
ネタバレ要約するとこんな感じなのですが、ここにTOKYOで生きる(東京じゃなくてTOKYOね!)、仲間たちのエピソードが絡まってきます。
【考察】なぜフォロワーズは面白くないのか?
私の見解は一つです。
蜷川実花の考えるTOKYOのリアルと、
現実のTOKYOのリアルの乖離。
ここに尽きると思います。
この乖離を埋める作業がストーリーだと思っているのですが、
ここチューニングに失敗している感は否めません。
脚本の都合のよさ
ストーリー進行だけではなく、友人や恋人など周囲との摩擦が起きた時に、奈良リミも百田なつめも自分や周囲と向き合う時間があまりにも短く弱いところがつまらないドラマにしてしまっている気がします。
ざっくり言うと脚本の都合が良すぎます。
例えば、奈良リミの右腕として活躍するゆる子(金子ノブアキ)が愛する恋人のためニューヨークに行くとき、
”たった1回の立ち話”で長年連れ添ったはずのパートナーを解雇
し、離れていきます。(第8話で解雇して次の最終話で戻ってきますw)しかも、解雇の話もつく前に別の人材を3人採用済み。
えええ!!!!
だいぶ物分かりがよくない?そんなことありますか?(笑)
また、なつめが炎上している時、親友であるサニーが売れていき、砂浜で妬みを言ってしまったことで距離が離れてしまいます。炎上騒ぎで意気消沈したなつめは実家に帰ろうとしますが、もう一人の友人ノリ(ゆうたろう)に連れられ、サニーの個展へ。
親友と距離を置いてからその後一度もサニーと向き合う、
思い出すシーンもなく次あった瞬間に感動の仲直り・・・
脚本の都合が良すぎじゃないか?!!
全然感情移入できません。
1人1人のエピソードも弱い
・エリコ(板谷由夏)
奈良リミの友人で、歌手のsayo(中島美嘉)のマネージャー。アーティストに愛情を注いだつもりが独りよがりだったことに気づき、解雇されたsayoとバーチャルユーチューバーとして再起するのですが、sayoがデビューするまでの原体験のシーンがありません。観ている側としてはなぜ二人はこれほど強い結びつきになったのかの原点がないので、感情移入できません。印象にある二人は嫌がるsayoをなだめるシーンばかり。二人の過去は感情的になったときの説明セリフしかありません。(しかも具体的なエピソードもなし)
全体的に残念なのですが
隣人の眞島秀和との件は笑えました。(笑)
・サニー(コムアイ)
なつめの事が好きなサニー。絵を描き続け売れていくのですが、ここも何のエピソードもありません。なぜなつめのことが好きでどんなきっかけで惹かれ、一緒にいたのか全然わからないのです。他の女性といても気にかけていたり理解できるシーンあるのですが、決定的なものはなく弱い印象なので、二人の絆に役者が泣いていてもこちらは感情移入できません。完全に置いていかれました。
蜷川実花は映画だからいいのか?
このドラマで置いて行かれたのは、
蜷川実花ワールドが長すぎた
こともあるのではないかと感じます。
約40分×9本のドラマなのですが、
極彩色溢れる彼女の世界は連続して観るには少し目がチカチカします。映画の過去4作はそれも好きな作品なのですが、今回はなんだか物足りなさを感じざるを得ませんでした。。2時間の映画を薄く伸ばしたかのような、そんな印象です。
また、説明セリフが全体的に多い。
「私はこう思っててこうなるはずだったのに、こうなったからこんな気持ちになった」などと非常に丁寧。映画やドラマって、言わなくても伝わる部分てあるはずなんです。このドラマは全体的に役者が良いので特に。観る側はあまり考えない傾向があるという前提で作られたのでしょうか。セリフの多いところが物語の浅さを表してしまっている気がします。
蜷川実花ファミリー全員集合?!豪華キャストの共演
私の知る限り藤原竜也以外全員出ているくらいのレベルです。
主人公
中谷美紀(奈良リミ)
池田エライザ(百田なつめ)
奈良リミの仲間たち
夏木マリ(田嶌エリコ)
板谷由夏(群青あかね)
金子ノブアキ(ゆる子)
浅野忠信(望月民生)
八代亜紀(ヨーコ・リミの母)
百田なつめの仲間たち
コムアイ@水曜日のカンパネラ(サニー)
ゆうたろう (ノリ)
上杉柊平(野間ヒラク)
あかねがマネジメントする歌手
中島美嘉(sayo)
あかねが付き合いかけたダメ男
眞島秀和(和田博嗣)
エリコの結婚相手
笠松将(季生)
各話にゲストが登場します。
なんとエリカ様(沢尻エリカ)が本人役で登場!!(第一話)
玉城ティナ(第1話、本人役)
土屋アンナ (第1話、本人役)
山田優 (第1話、本人役)
DAOKO (第1話、本人役)
MIYAVI(第2話・本人役)←奈良リミと夜遊びする
川谷絵音(第3話・本人役)←奈良リミの元カレで「浮気はダメ」とかセリフで言う(笑)
大森南朋(第3話・本人役)←奈良リミの元カレ
ローラ(第4話・本人役)
棚橋弘至(第4話・本人役)
ドン小西(第5話・本人役)
堀江貴文(第5話・本人役)
↑なつめがSNSで炎上した時、SNS炎上ついてガチコメントする役という(笑)
水原希子(第7話・本人役)
渡辺直美(第7話・本人役)
超豪華・・・
しかも、出てくる衣装やアクセサリがブランドものだらけ!
「GIVENCHY」
「GUCCI」
「CYCLAS」
「TAE ASHIDA」
「NEIL BARRETT」
「TADASHI SHOJI」
「KEITA MARUYAMA」
「ANNA SUI」
「MIUMIU」
「Tiffany&Co.」
「TASAKI」
ハイブランドのドレスや衣装、高級ジュエリーが溢れまくっています。。
1話に1億円ってそうゆうことですよね
音楽ゲストも豪華で、椎名林檎にエゴラッピン、エンドロールはPerfumeです。
広島県出身の私としてはPerfumeが聞けたのは嬉しいものの、
エンドロールのテーマ曲『TOKYO GIRL』
なんですよね。これってドラマ「東京タラレバ娘」のテーマだったので、そのイメージがついてしまっていて・・・最後だけ急にこの曲が出てきても全然しっくりこないというか、
むしろ違和感
でした。
これはただの個人的な好みですが、
東京タワーよりスカイツリーが好きです。(爆)
しかし現代のリアルって表現で、東京タワーって若干違和感が・・・
主人公・奈良リミは蜷川実花本人?
金髪で、
極彩色が好きで、
写真家。
子供を産んで、
仕事と育児を両立・・・
(この特徴は完全に蜷川実花やん・・・)
ここについては私が調べた限り、
自分に限りなく近いとインタビューで語っています。
ちなみに、売れない時代を過ごしながらSNSでブレイクした百田なつめを演じる池田エライザも本人に限りなく近いキャラのように感じました。だからか、劇中のセリフや言動には納得感が多かったように感じます。
夏木マリが救い
このドラマで一番良かったエピソードはエリコ(夏木マリ)でしょうか。
歳を重ねても、仕事をして、恋をして、子供と向き合い、自分の幸せと真摯に向き合う。演技もさすがの一言です。リアルな女性かどうかは置いておいて『強く、しなやかに生きる女性』を体現していると感じました。乳がん後の別れを告げるシーンや手術後の写真の表情など惹きつけられるところは様々。キスシーンはダレトクなのか?と若干感じつつ、画になるのもまたスゴイと思いました。
ジェンダーレス
LGBTQについて、主人公はノンケでしたが、ゲイやバイセクシャル、レズビアンなど様々な性の考え方を持った人物が登場します。ここはイマドキというか、女性らしくそれぞれのキャラが自然に共存していてとても良かった。
まとめ
ここでキッチリと言わせてほしいのですが、
『蜷川実花の実力ってこんなものじゃない!』です。
世界に通じるドラマが必ず作れるはずだし、蜷川実花のクリエイティブは闘える実力を持っています。犯人探しをしたいわけではありませんが、
このドラマの戦犯は脚本。
ここに尽きると思います。
第92回アカデミー賞で、作品賞を受賞したポンジュノ監督が言っていました。
「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」 と。
そうゆう意味では、蜷川実花の生き方や背景に強く影響を受けたであろうこのドラマはクリエイティブになる素質を絶対に秘めているはずなんです。
ただ・・・これは毒にも薬にもならなかった。
華やかな美術に彩られた鍋の中には、豪華な食材をただ水で煮ただけのような味の薄い料理しかなかった。
シーズン2はあるのでしょうか?
皮肉っぽく言ってしまいましたが、鍋の中には豪華食材です。味付け次第で必ず美味しい料理になります。世界中の人が食べたくなるような。次回に期待しています。
最後までご覧いただきありがとうございました!別のレビューもぜひ観て下さいね。
コメント
同世代からか、リミ(中谷美紀)に感情移入しながら観ていました。
出産シーンとウーマンアワード?のスピーチシーンで泣く。
なつめとサニー、あかねとsayoの関係性は、会話や視線、表情等でイメージ出来たので、わたしには過去エピソードはそんなに必要なかった。
自分の想像力に感謝。
エリコの撮影シーン。
冒頭、夏木マリさんの背中がアップされた時、相当なトレーニングで仕上げてきたと思われる努力に脱帽。と美しい背中が物語っていた。
最後に映し出されたモノクロ写真をみて無意識に涙が流れた。
綺麗でかっこよくて自信に満ち溢れていた。女性って素晴らしい。
個人的に日本と言えばスカイツリーだけど、東京のシンボルは東京タワーなんだよなぁ。
どれだけの人が東京タワーを眺めながら夢を追いかけていたんだろう。と。
出産シーンとウーマンアワード、どちらも女性しか体験できないという意味で、
男性は感情移入がしづらかったのかもしれません。
本作の設定から拝察すると、主人公のリミは蜷川実花本人の人生に近い印象を持っています。
後から思うと、強く、美しく年を重ねながら、
恋に生きるエリコは蜷川実花の理想像(エリコになりたかった)のかも?と考えてます。
本作の夏木マリは本当に良かったです。
何が魅力的だったのか、改めて考えると、
エリコがエリコという生き方をする中で、
背負っている孤独や後悔などすべてを内包した上で、
あのモノクロ写真があるから、心が動くのかもしれないなどと思います。
私は厳し目に低評価組です。。
蜷川さんファンで芸能人や有名人が好きな人、(奇抜な)ファッション好きな人、
モダンアートが好きな人にはビジュアル的には楽しめるんじゃないですかね。
でも純粋なドラマ作品としてみるととても残念な作品。
衣装もインテリアも現実感なさすぎで、セリフもありきたりだし、全員すごく演技っぽい。
一流女優の中谷美紀でさえすごく演技下手?!!って何度も思っちゃいましたこのドラマ。
下手に見えてしまう訳を考えて見ると、設定や展開に無理がありすぎ&現実離れしすぎで
リアリティも出し様がないのかな、と。
人気フォトグラファーやタレントの親友がゲイ設定とか、昔流行った海外ドラマの受け売りステレオタイプだし、 わざわざLGBTやSNSを取り上げて今時感を出してる感じ。。
そして蜷川さんが芸能人に顔が広いのよ〜と自慢したいのか、
有名人のカメオを散りばめて話題作りに必死な感じもすごい。
今の女性は仕事もプライベートも経済的に自立して自由に生きた方が良い、
ってストーリー展開も普通すぎ。。
ファッションや芸能人とか蜷川ワールドが好きな人は楽しめるけど・・
日本の芸能人なんて誰も知らない外国人(バイアスかかってない人)が見たら
演技っぽいし話もありきたりでつまらないんだろうなー、って感じです。