どうもこんにちは!ミギーです。
今回紹介するのは『彼女がその名を知らない鳥たち』
重い・・・スゴい想いです。
蒼井優さんが体当たりで臨むシーンが多く、大人向けのドラマになっておりますが、登場人物に対する嫌悪感を強く抱く作品になります。
キャッチフレーズは「あなたはこれを、愛と呼べるか。」
私はこれを愛とは呼べないです。
歪んでいるけどまっすぐな陣治(阿部サダヲ)の想い。
決して幸せになることのない恋にまっすぐな十和子(蒼井優)。
ただただクズ男の水島(松坂桃李)と黒崎(竹野内豊)。
4人の織りなす物語に嫌悪感が止まりません
この作品はデートに不向き。一人での鑑賞をお勧めします。
早速レビュー行ってみます!!超ネタバレしているのでご注意下さい!
十和子の殺人の罪を背負って、ラストは陣治が自殺。
2人の男性に弄ばれた十和子。自分で自覚しないところで、黒崎を刺し殺していました。
記憶喪失ですっかり忘れている十和子。目撃し、十和子の殺人を隠し続ける陣治。
しかし映画が進むにつれてバレていきます。最後は十和子の罪を被って、飛び降り。飛び降りると同時に、名前の知らない鳥たちが羽ばたく・・・「次に誰かの子供を十和子が産むとき、その子は私(陣治)だ」と言い残して。
どこかで似た感じの印象があって、思い出したら福山雅治主演『容疑者Xの献身』でした。石神(映画では堤真一が演じた)という男の、近所に引っ越してきたシングルマザーへ献身する姿に、涙が止まらない1本なのですが、1人の女性に尽くす陣治の姿はそれに近い印象を受けました。
阿部サダヲの演技力がヤバい。本当に。
愛と呼ぶには深すぎる。なぜそこまでするのか具体的な理由は語られていないものの、「好きだから」ということに集約されるのでしょうか。まっすぐな愛を貫いた彼は最後死ぬしかないまで、十和子の行動はエスカレートしていて、十和子が気が付けば、この関係が終わるのを承知して、生活を過ごしていたと考えると本当に胸が痛いです。
記憶をなくした十和子を見て、「やったぁ」って、、
普通思わないでしょ!!
一緒に逃げて、生きる道もあったのではないかと考えてしまったが、陣治はそうはしなかった。すべての罪を自分が被って、死んでしまったということ。
はぁぁぁぁ、言葉にならない。
陣治らしいラストの台詞
「幸せになって子供を産んでくれ。その子供は、俺だからな」
重い・・・陣治は本気で言っているけど、十和子がどこまで本当に受け止めたのかは疑問であるところがまたこの作品の”モヤっと”感を増幅させています。
あらすじ
8年前に別れた黒崎(竹野内豊)を忘れられない十和子(蒼井優)は、今は15歳上の陣治(阿部サダヲ)と二人暮らし。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼からのわずかな小遣いをもらい、堕落した日々を過ごしていました。
ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子持ちの水島(松坂桃李)と関係を持ち、彼との情事に溺れていきます。ある日、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされます。十和子は陣治を疑い、水島を巻き込みストーリーは発展していき、最後はすべての真実が明かされラストへ・・・
3人の男(阿部サダヲ、竹野内豊、松坂桃李)と関係を持った、
1人の女(蒼井優)の物語。
感想・考察
「えっ、嘘でしょ?!なんで?!!!!」
思わずU-NEXTが映るPCに突っ込んでしまいました。
こんなラストがありますか?これを、愛と呼べるのか?冒頭でもお伝えしましたが、
私はこれを愛とは呼べません。
でも・・・そこに愛はあったという不思議な映画。
もう男から見ても、クズ男ばかりです。よく各俳優陣がオファーを受けたなと思います。暗くて陰湿で、なんか変なにおいとかしてきそうな映画でした。一方、そのつくりはとても良かった。クズ男たちを整理しました。
クズ男その1=黒崎(竹野内豊)
高級な車やスーツを着こなして、十和子にいい思いをさせたところまでは良かったものの、性交時の映像をばらまくと脅したり、車から引きずりおろして蹴ったり、
暴力がとにかく止まらない。
自分じゃない老いぼれジジイ(とある権力者)と十和子をS〇Xさせるなど、扱い方もひどいというか最低。不快感を表すのにまったく苦労しません。
クズ男その2=水島(松坂桃李)
奥さんがいながらも十和子と関係性を持ち、出会ってキス、路上でフ〇ラ要求、会ったら必ずラブホと性欲しかないクズ野郎でございました。下半身の中心の動きがゲスな水島ですが、この松坂桃李がエロい。『娼年』よりもセクシーではないでしょうか。喘ぎ声と舌の使い方がめちゃくちゃエロく、とってもSEXYになっています。
クズ男その3=陣治(阿部サダヲ)
48歳、髪も髭もボサボサ。顔も黒い。常に来てる作業着は汚いし手足の爪も汚れてる。食べ方はくちゃくちゃ言って汚いし、水虫の靴下で顔拭くし、食べてる間に口に指ツッコんで差し歯を抜くし品が全く無いです。しかしなぜか十和子には一途な愛を向け続けます。クズというより外見が汚い男ですが、彼の動きが十和子の運命を変えていきます。
クズなヒロイン=十和子(蒼井優)
とにかく物を買ってはクレームをつけ、レンタルDVDが途中で止まれば、それまで映画を観ていた自分の時間をどうしてくれるんだといちゃもんをつける超嫌な女。だけど、男はめちゃくちゃ寄ってくるという不思議な魅力を持っています。1人は利用できるから、1人はヤれるからという理由で寄ってきますが、なぜか陣治だけは一途な愛を向けてきます。外見と仕草の気持ち悪さから嫌悪感を抱きます。恋に溺れてしまうタイプで好きになると周囲が見えなくなる。しかし、そんな自分をどこかで嫌に思っている(ストレスに感じている)部分があります。このどうしようもない女と、救いようのない3人の男の織りなす物語のヒロインとして、演じ切った蒼井優は見事でした。
蒼井優の女優魂
特筆するべきは蒼井優でしょう。救いようのない嫌な女である一方で、愛を求める目線や仕草は“女性”そのもの。体当たりの濡れ場も多いですが、ダメな男に溺れている感がこれでもかと伝わってきます。このキャラクターの使い分けというか、よく混在しながら魅せられるなと。
陣治を罵りながらも一緒にご飯を食べている空間や、黒崎にジジイと寝てくれと頼まれた時の表情とか。特に、最初の嫌なクレーム女のキャラなら、「ジジイと寝るなんて嫌に決まってるやろ、人の身体なんやとおもてんねん!」くらいのことは言いそうだが、黒崎を本気で好きな女性になっているから、困惑する表情に違和感がない。蒼井優の演技力って本当にスゴい。
結婚を発表されたけど、今後も女優として活躍する姿を見たいです。
最後に、タイトルの意味
陣治が飛び降り自殺をしたとき、多くの鳥たちが空に飛び立ちます。
しかし十和子はその名前を知らない。
陣治から受けたものが「愛」ということを、十和子が知る日が来た時、その鳥たちの名前は愛だったのだと気づくのだと思います。
十和子が、陣治の望んだ“幸せ”を見つけられる日がくるのか。
私は、来ないと思います。
そして、幸せになって子供を産まない人生を十和子が歩んでも、
陣治はきっと怒らないはず。
そう考えると、また涙が出てきます。
最後までご覧いただきありがとうございました。違うレビューも良ければ見て下さい!
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