【運び屋】ネタバレあり・なし感想!87歳のおじいちゃんが麻薬を運ぶドラマに感動が止まらない

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<監督・主演>

クリント・イーストウッド

 

<解説>

巨匠クリント・イーストウッドが自身の監督作では10年ぶりに銀幕復帰を果たして主演を務め、87歳の老人がひとりで大量のコカインを運んでいたという実際の報道記事をもとに、長年にわたり麻薬の運び屋をしていた孤独な老人の姿を描いたドラマ。

家族をないがしろに仕事一筋で生きてきたアール・ストーン(クリント・イーストウッド)だったが、いまは金もなく、孤独な90歳の老人になっていた。

商売に失敗して自宅も差し押さえられて途方に暮れていたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられたアールは、簡単な仕事だと思って依頼を引き受けたが、実はその仕事は、メキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だった。

脚本は「グラン・トリノ」のニック・シェンク。

イーストウッドは「人生の特等席」以来6年ぶり、自身の監督作では「グラン・トリノ」以来10年ぶりに俳優として出演も果たした。

共演は、アールを追い込んでいく麻薬捜査官役で「アメリカン・スナイパー」のブラッドリー・クーパーのほか、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアら実力派が集結。

イーストウッドの実娘アリソン・イーストウッドも出演している。

 

<これから観る方への感想・ネタバレなし>

御年89歳のクリント・イーストウッド(1930年5月生まれ)が、

90歳の運び屋(実話の話は87歳)を演じるという(ある意味等身大の)仰天ストーリー。

 

本作のベースになったのは2014年6月に「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」に掲載された、「シナロア・カルテルの90歳の運び屋」という1本の記事。

つまり、実話をベースにしたストーリーいう。

エンドロールでも上記から着想を得たと書いてあります。

 

『グラン・トリノ』のニック・シェンクが脚本を手がけ、人間味魅力的な作品に仕上げていて、

 

物語が伝えてくることは、

「家族を大切にすること」

「やりたいことをやっていくべき」

大きく2つのメッセージです。

 

クリント・イーストウッド扮するアールは仕事を優先するあまり家庭は崩壊。

離婚し、その後の元妻と長女との関係も冷え切ってます。

唯一親しくしているのは、孫娘だけ。

長女役のアイリスを演じているのはなんと、イーストウッドの実の娘、

アリソン・イーストウッドというリアル親子共演も話題です。

リアル親子だけに、演技はもはや演技には見えなくなり、

実際のクリント・イーストウッドの人生と主人公が自然に重なってみえるのは、

たぶん気のせいじゃない。

 

ひょんなことから、麻薬の運び屋となってしまう老人と、

それらを取り巻く“時代”、“家族”、“人間関係”が上手く絡み合って、

絶妙な味のするヒューマンドラマになっています。

 

働く男、毎日闘っているサラリーマンは、

自分を投影できるキャラになってます。

 

面白いですよ!

是非、ご鑑賞下さいませ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ネタバレ感想>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※この後下にはネタバレ感想注意※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今作もクリント・イーストウッド、めちゃくちゃカッコいいです。

ブレないジジイのセリフが刺さります。

 

ネタバレストーリーとしては、

2005年、アールは園芸農場の経営を生き甲斐にしていて、ボロボロのトラックでアメリカ中の品評会を駆けめぐり、自慢のデイリリー(ユリの一種)を誇るのが生きがいであり、実際に業界内でアールの評価も高く、みんながチヤホヤしてくれているところからスタートします。

 

しかし、仕事を優先して生きてきたアールは、長女の結婚式にも、卒業式にも出ないダメオヤジ。元妻との記念日などもすべて仕事を優先させてしまったことが原因で、完全に関係が冷え切っていました。

唯一味方してくれるのは孫娘。

 

2017年、インターネット販売の波にのまれる形で農場経営は立ち行かなくなり、

経営は破綻。農場の差し押さえにあい、行くところがなくなったアールは孫娘を尋ねます。

その日は、孫娘の結婚式の事前パーティー。

 

家族にも会いますが当然ながら拒絶されます。

そして、そこのパーティーに参加している一人から、

運ぶだけでお金になる仕事があると、紹介を受けます。

 

そして、彼は運び屋デビュー!

運びで大金を得た彼は、まず孫娘の結婚式パーティーの二次会の費用や学費を援助。

車もピカピカの新車になり、差し押さえに合った農場も取り返します。

果ては友人のお店の建設費まで出すことに。(25,000ドルだから・・・300万円くらい?)

とにかく見栄っ張りで、人がいいんですね。

 

家族ともやり直したいと話しますが、すぐには受け入れられません。

 

しかし一方、運び屋の実績が認められてきた彼は、麻薬グループのボスにも気に入られ、

若いチャンネーに施しを受けたりして(90歳やぞ?!)、

ますます仕事に精を出すことになります。

 

空虚な彼の孤独は金で埋まっていきます。

身に着けるものも、ゴールドの時計とかつけちゃったりして。

孤独が埋まっていくアールですが徐々に心の変化が訪れます。

 

金で人も集まり、モノも不満足なく揃っていく中で、

彼の奥さんが倒れます。

医師から言われます。

「あと1年早く受診していれば」

おそらく彼は、そばにいればその変化に気づけたはずです。

その伏線で、娘の卒業式に出席したとき、咳き込む奥さんをみて心配していたから。

 

奥さんが倒れた時、彼は13回目の運びの仕事中。

信頼の厚くなった彼のトラックには、300キロを超える13回目にして一番量の多い運びの真っ最中。

しかも麻薬グループのボスは変わっており、時間通り運ばなければ殺すと脅されています。

仕事に生きてきた彼は、倒れた連絡を孫娘から受けますが帰れないと伝えます。

 

しかし・・・

彼は仕事を放棄し戻ってきました。

数日して奥さんはなくなりましたが、

彼はかけがえのない時間を過ごすことができ、

彼の献身的な姿を見て、家族とも和解します。

 

奥さんの葬式に出たあと、仕事を完了させに再度運びにでる彼。

しかし警察の潜入捜査の甲斐もあり、途中で捕まってしまいます。

裁判でも自ら有罪を告白しますが、家族のきずなは戻っていて、

刑務所の中で、ユリを育てながら、(おそらく)余生を過ごしましたとさ。

 

現場からは以上です。

 

名シーンはたくさんあって、

麻薬グループの舎弟に、

「ここにいては使い捨てられる、自分のやりたいことをやれ」

とか

果ては、追いかけられているはずの麻薬捜査官と朝食の場でバッタリ会って、

「記念日を忘れることもある。しかし、家族との時間は取り戻せない、会いにいけるときにいくべきだ」

とか、

いいことめっちゃいいます。

なんなら私も刺さりました(笑)

 

「時間以外のものは買えるのに、時間だけは買えなかった。」

これはですね、仕事を優先するあまり家庭を顧みない、

あるいはその覚えがある経営者や仕事人、サラリーマンに訴えています。

どれだけ働き、仮に金に恵まれても、失った時間は戻らないのだと。

かけがえのないものは、自分で必ず守らなければならないというメッセージです。

 

そして、時代。

彼はインターネットの普及した世界に対応できなかった。

自分自身のジョークは、人種差別になっていたり、

呼び方が変わっているなど、劇中で”おいていかれている感”のシーンが何度も出てきます。

世の中は、そういった人たちを排除しようとしていないか?

あるいは、老人は対応しようとしていないのではないか?

そういったメッセージも含まれているように感じました。

 

『グラン・トリノ』に近いような印象を受けたのは、

どちらも”車”がポイントになっている点や、自宅に星条旗が掲げられているなど、

ちょいちょいあります。

 

しかし、全然別の作品になっています。

テーマは普遍的だが、生きる上で何を大切にするかを考えさせられました。

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