<監督・主演>
クリント・イーストウッド
<解説>
アカデミー作品賞受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」以来4年ぶりとなるクリント・イーストウッド監督・主演作。
朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。
そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。
ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。
<これから観る方への感想・ネタバレなし>
クリント・イーストウッドが演じるのは退役軍人で堅物の主人公「ウォルト」。
ポーランド系移民の彼の宝物は愛犬と、「グラン・トリノ」というフォード社の車。
一言で見どころを言うなら、主人公ウォルトの“生き様”です。
奥さんは先に他界していて、彼は孤独な生活をしています。
アメリカ・デトロイトの舞台に、
愛国心の強い彼の元に中国系の一家が引っ越していきます。
彼はそれを良く思っていません。
庭に入るだけで大激怒します(笑)
悪口が多めで、唾はいたり、悪態付きでもある。
隣人となった中国人は東南アジアの少数民族、モン族。
最初は互いに不信感があったものの、気弱な少年「タオ」と打ち解け、
共に過ごす中で徐々に成長していき、ウォルトもまたタオを信頼していく。
しかし、タオは同じモン族の不良グループに絡まれていた。
不良グループを追い払うため、ウォルトは立ち上がり・・・事件が起こります。
感想としては、
めちゃくちゃいい映画です。泣けます。
頑固オヤジのクリント・イーストウッドがマジでいい味出してます。
映画のポスターにこんなことが書いてあります。
『俺は迷っていた、人生の締めくくり方を
少年は知らなかった、人生の始め方を』
生まれも育ちも異なる二人が交わり、
感動的なドラマが生まれます!
是非ご覧下さい!
<ネタバレ感想>
クリント・イーストウッドの最後の死に方が超カッコ良い!!
ハスキーで、若干ドスの効いた絶妙な声と、
頑固ながら相手を認めていく変化がわかりやすくて楽しめました。
やっぱりラストシーンですよ。
「タバコが吸いたい。火をよこせ」
「ないのか?なら、俺は自分のライターを出す」
一連の決意したジイさんの行動が、イチイチ染みる、カッコいい。
漢だよ、あんた。カッコいいって感じちゃったからね。
キャラも一貫していて、最後遺書が読み上げられる中、
「俺のグラン・トリノはタオに譲る。落書きしないこと~」など、
文字でもくそジジイ感を出していて、観ている側は本人が話しているように感じられた。
ちゃんとできていると思うのは、
黒人ギャングからスーを助け出すシーンで、指の銃で撃っているシーンを見せているところ。
本チャンの乗り込むシーンでは、不良グループ全員を撃った。指の銃で。
全員倒したんだよね。
不良グループからタオとスーを“永遠に”切り離さなければならない。
しかし殺すという選択肢は取らなかった。
おそらく殺すなら単身乗り込んで銃殺と簡単だったが、
それではいけないと方法を試行錯誤したのは、
タオに殺人の恐ろしさを、
復讐や憎しみからの殺人をして生きていくことの辛さを、
抱えさせたくなかったから。
裏メッセージとしては、
撃ってしまった不良たちにも「人を撃ち殺すことの怖さ」を考えさせる意味もあるのかなと思ったり。
最初の頭おかしいジジイから、徐々に打ち解けあっていくのがいいよね。
キャラに助けられている部分はあるのかな。
あんなタオみたいな少年いないよ。あの素直さと優しさ、
理容室のような順応さを持ち合わせていたら、どこでもやっていける(笑)
ジイさんと少年の友情のように描かれているが、
タオの姉ちゃんのスーも相当いい仕事してる。
彼女の勇敢さや家族思いなところ、他人を思いやることのできる優しさが、
二人を導いているように感じました。
この後『運び屋』を観る予定だけど、
本作はクリントイーストウッド映画でも最高峰ではないかな。
果たして本作を超えることが出来るのか、楽しみです!
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