【増える映画館&減る書店のリアル】ミギーの雑記4

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どうもこんにちは!ミギーです。

 

はい、というわけで今回は

出版業界のブログです。

 

なんで?と思いますよね。

 

前回、映画代はなんで1,800円もするのか?

というブログを書きましたが、

 

書籍の値段って全国一律なところの仕組みと似ていると感じたので、

ここの古い仕組みについて今回は記そうと思います。

この機会に出版業界についてもぜひ知ってください。

 

なんで全国一律の価格なのか?

 

例えばですが、大人気の『メモの魔力』ってありますよね

Amazon.co.jp

 

定価は1,400円ですが、

書籍の価格は出版社が自由に設定できます。(再販制度・後述します)

では1,400円とかの定価ってどう決まっているのでしょうか。

ほとんどは、

『他の類似書籍の販売価格と遜色ない価格』

を出版社側が設定し決まっています。

 

そういえばよくよく考えればビジネス書の価格帯って、

だいたい1,200円~高くても1,800円くらいが相場ですよね。

 

なぜワンコインの500円で買える書籍や10,000円する書籍がないのか。

 

これには2つの理由があります。

 

 

出版社・取次・書店それぞれの収益性

 

業界の構造をざっくりとお話しすると、

出版社=本をつくるところ(全国に約3,300社ほど)

取次=本を出版社から仕入れて、書店に流すところ(全国30社ほど)

書店=本を販売するところ(全国に11,000書店ほど・Amazonも書店の一つ)

の3つで成り立っています。

 

仮に1,000円の書籍が売れた時の各売上配分をわかりやすくすると、

出版社=約700円

取次=約100円

書店=約200円

となっています。

※出版社によって配分条件は異なります。

 

先ほどの「なぜ類書と遜色なく価格設定をするのか」という問いに答えると、

 

例)

A マッ〇ンゼー流 年収1,000万円を超える方法

定価:2,000円(=書店の収益は400円)

B ハー〇ード式 年収1,000万円を超える方法

定価:1,000円(=書店の収益は200円)

 

AとBがあった時に、書店はどちらを置くでしょうか。

同じ売行きをするならば、Aが高確率で置かれます。

書店の収益が確保されるので。

あるいは、AがBの2倍以上確実に売れ続けるのであればBですが、

少し想像はしにくいです。

 

じゃあ、“間違って”Bの価格設定をしてしまった本は・・・

合えなく返品となる可能性が高いのです。

だから遜色なく価格設定をされていることが多く、

ビジネス書の価格帯は同じような値段になります。

これが書籍の価格設定の裏側です。

 

 

もう一つは再販制度

 

前述の『メモの魔力』、

北海道の最果てで買っても、都内のTSUTAYAで買っても、同じ1,400円です。

これは一説によると“教育に関わるもの”は地域ごとに差があってはならない

みたいな制度だからと聞いたこともありますが、

実際は再販制度という古いしきたりに守られているものです。

 

書店は本を売っていますが、

「委託販売」という形式をとっています。

 

分かりやすく言うと、

出版社が決めた価格で売ってね

と委託されているだけなのですね。

 

書店のメリットととしては、

頼まれて売っているだけなので、

在庫リスクがありません。

無料で返品が出来ます。

(なお、業界の返品率は40%超え)

 

書店は売れた書籍の約20%が収益になりますが、

仮に1,000円の書籍が毎月10,000冊売れれば、

売上は月1,000万円、純利益は200万円となります。

 

少しそれた話をすると、

400円のワンピースが売れると書店は80円の収益が出ます。

しかし、1冊400円のワンピースが万引きされてしまいました。

するとどうなるか?

ワンピース5冊を売らないと赤字になります。

これは地味に大きな問題で、

2017年の取次発表では書店の営業利益率は0.11%(日販発表)

に対し、万引きロス率は1%ほどという試算もあるので、

万引きがなければ書店は今の約10倍は儲かっている計算になります。

 

書店の数はピークで22,000店舗を超えていますが、

現在は11,000書店ほどと半減。

しかも、この11,000書店も、地方の端っこにあるような山田書店とか、

そうゆう店舗も含んだ登録数であり、

実際に一定の売上を立てている書店数は5,000店舗もないと言われています。

 

これが売場である書店の裏側です。

 

映画代1,800円と同じ権力問題

 

以前のブログで、映画代1,800円は映画の配給会社が強い圧力を持って、

値段を固定しているという結論で書いていますが、

出版業界も近い業界です。

 

書籍の流通の仕組みを簡潔にお伝えすると、

出版社→取次→書店と流れていきます。

この中の“取次”が全国の書店とのネットワークを持っており、

取次に「口座があるかないか」で流通力が大きく変わります。

 

なお、取次店は全国30社ほどあるものの、業界3位と4位はすでに破産・吸収されています。

ほぼ業界1位と2位のニッパン・トーハンの2社と呼んでいいです。

では、例えばニッパンの大株主のリストを見てみましょう。

 

2018年(平成30年)3月31日現在(上位10名及び持株比率)

株式会社講談社 – 6.33%

株式会社小学館 – 6.27%

日販従業員持株会 – 3.42%

株式会社光文社 – 2.95%

株式会社文藝春秋 – 2.40%

株式会社秋田書店 – 2.35%

株式会社三井住友銀行 – 2.23%

株式会社KADOKAWA – 2.13%

株式会社TSUTAYA – 1.96%

株式会社旺文社 – 1.91%

 

おわかりいただけましたでしょうか。

大手出版社がズラりです。

一言で言ってしまうと、取次は

大手出版社が、自分たちのつくった書籍を、

効率よく流通させるためにつくられている仕組み

 

なんですね。

実は出版社の立ち上げって超ハードルが低いです。

書籍を流通させるためのISBNコードは誰でも取れます。

(0円で株式会社を立ち上げるとの同じノリです。)

でも作っても流通できないのはこういった仕組みがあるから。

 

映画でも、確実に売れる実写化や本屋大賞原作の作品に、

大手が出資して、自分たちの映画館で上映し収益を得る要領で利益を出していますが、

出版も同じ。

大手が牛耳っている世界がもう数十年続いています。

 

映画より出版業界の崩壊の方が早い

出版業界にはとんでもない“書店”が存在します。

その名は「Amazon」

Amazonが一時期叩かれまくった“取次剥がし”のニュースを見たことがあるでしょうか。

取次店を介さずに、出版社から直接仕入れて書店(Amazon)で販売する手法

がもうスタンダードになりつつあります。

 

そうなると

先ほどの1,000円の書籍が売れた時の各売上配分が、

出版社=約700円

取次=約100円

書店=約200円

 

↓例)

出版社=約750円

書店=約250円

など、自由に設定できるようになります。

 

これを業界では「直取引」(ちょくとりひき)と呼んでいます。

出版社の実入りも大きく、ここの流れはもう止まらないはずです。

 

この結果、ニッパン・トーハンも収益はかなり落ち込んでおり、

もはや崩壊は目前・・・くらいにまことしやかに囁く人も少なくありません。

 

映画業界も変革できない古い業界である一方、

出版業界はもっとひどい状況と言って過言ではありません。

 

映画と書籍、この2点にしかないものは、

「深くストーリーを伝えることのできるコンテンツ」

であることです。

映画と書籍は一般的には2時間以上を掛けて得る情報量があります。

ここまでのコンテンツは、新聞やTV、動画、雑誌、SNSではありません。

 

映画好きな人は読書も好きな人が多いですが、

こうゆう共通点もあるのかな、と思います。

 

映画の業界はいま、外資系のシネコンなどの参入もあり、

映画館の上映価格もだいぶ安くなっています。

 

また、価格設定も書籍は法律で出版社の提示価格になりますが、

映画の場合は映画館(興行)で決めて良いこともあり、

ソフトランディングで変化していくのだと思います。

 

書籍も映画も同じで、

「おもしろい映画(書籍)」をいかにつくり、広がるか、

がポイントに感じます。

 

観る側に人にも、こういった背景の業界であることを知ってもらうと、

また映画や書籍の選び方が変わると思いますので、

ぜひ参考にして下さい!

コメント

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