はいどうもこんにちは、ミギーです!
今回紹介する映画は【ラストレター】
岩井俊二監督作品らしさ全開の1本です。岩井俊二の魅力は映像美。一見ムダに見えるシーンの中に水や風、光や炎などが映されるのですが、一つ一つ丁寧に切り取られていてきれいです。今回はドローン撮影も多く、引きの画でもその映像美が楽しめます。シーンの切り替えなどに差し込まれる映像の中に、登場人物の感情の余韻”が残っているように感じられ、作品の質がグイグイ深まっていくのも岩井俊二作品の特徴です。
SNSでも話題になりましたが、広瀬すず×森七菜のタッグ・・・最強です。ハンパない透明感。ワンピースや浴衣姿など衣装のシンクロ感もいい感じです。見ているだけで心が洗われるようです。
ゆったりと流れる映画の中に、登場人物たちのたしかな恋心の足跡が残される類まれなる映画です。
岩井俊二の過去作品は、ぜひAmazonプライムビデオで!月額500円見放題で観ることができますよ。月に映画1・2本くらいかなって人でも、プライムならおトクです!
この作品は、
デートにオススメ!!!夫婦でOK!友人や家族でOK!恋愛映画としてチョイスして間違いないです。早速レビューいってみます!
ネタバレありますので、ご注意ください!
ネタバレ~ラストレターのラスト~
自殺した母・遠野未咲から娘の遠野鮎美(未咲・鮎美どちらも広瀬すず)に贈られたラストレターは『高校卒業式の答辞』でした。
母が自分自身の高校時代の最後に、鏡史郎(神木隆之介)と一緒に考えた文面です。内容は、「みんながそれぞれの道を生きる中で、つらい時きっとこの高校生時代を懐かしみ、思い出す」というもの。この答辞を一緒に考え、未咲から「小説家になればいい」と言われたことがきっかけで、鏡史郎は小説家になり『未咲』という作品を上梓します。未咲は自殺したものの、きっと最後に思い出したことは、鏡史郎と過ごした高校時代だったのだと考察します。
卒業式の答辞全文
本日、私たちは卒業の日を迎えました。
私たちにとって、おそらく生涯忘れがたい、かけがえのない想い出になることでしょう。将来の夢は、目標はと問われたら、私自身まだ何も浮かびません。でも、それでいいと思います。
私たちの未来には無限の可能性があり、数え切れないほどの人生の選択肢があると思います。
ここにいる卒業生、ひとりひとりが、いままでも、そしてこれからも、他の誰とも違う人生を歩むのです。夢を叶える人もいるでしょう。叶えきれない人もいるでしょう。つらいことがあった時、生きているのが苦しくなった時、きっと私たちは幾度もこの場所を想い出すのでしょう。自分の夢や可能性がまだ無限に思えたこの場所を。お互いが等しく尊く輝いていたこの場所を。
卒業生代表 遠野未咲
作品の最後に紹介されたことで、めちゃくちゃグッと来ました。
ラストレターにふさわしい結末だったと感じます。
バラバラだった2つの世代を繋ぐのは手紙
本作のキーワードは『手紙』です。映画ラストレターでは今のご時世に、メールやLINEといったツールがビックリするほど出てきません。
これはですね、現代の若者に向けたメッセージでもあると思います。『手紙』の持つ本質的なメッセージ性の強さ、想いを伝達し、伝えるツールとしての役割を強烈に認識させるメッセージだと私は受けています。私も最後に手紙を書いたのはいつでしょうか。本当に、本当に、真摯に想いを伝えたい時、手紙はとても強い手段です。しかし実際に書いてみようとすると、驚くほどに書けません(笑)だけど、そこを紡ぎだしてきた言葉こそ、きっとコアなメッセージであると思います。そういったことを再確認できる意味で、良い映画でした。
あらすじ紹介
キャスト
乙坂鏡史郎(高校生):神木隆之介
遠野鮎美/遠野未咲(高校生):広瀬すず
遠野裕里 / 岸辺野颯香 (高校生):森七菜
乙坂鏡史郎(成人):福山雅治
岸辺野裕里(旧姓 遠野裕里):松たか子
岸辺野宗二郎:庵野秀明
阿藤陽市:豊川悦司
サカエ:中山美穂
若干ややこしいのですが、 乙坂鏡史郎は1役を2人(大人:福山、高校生:神木)で、 高校生時代の遠野姉+遠野姉の娘を広瀬すず、 遠野妹+遠野妹の娘に森七菜となっております。劇中少しこんがらがりました(笑)
そして、ここで特筆するべきはトヨエツ×中山美穂!岩井俊二監督の1995年製作映画『Love Letter』で主演を務めた二人のキャスティングです。知ってる人からしたら胸熱ですよ。しかも夫婦役というのがまた感じるところがあります。
映画ラストレターのあらすじ
1人の女性が自殺したことを起点にして、2つの世代の男女が繰り広げる恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描いた岩井俊二のオリジナルストーリーです。
遠野未咲の葬儀で、娘の鮎美(広瀬すず)と出会った岸辺野(旧姓:遠野)裕里 (松たか子)は、未咲に届いた同窓会の案内と鮎美に残された手紙の存在を知らされます。高校生の頃初恋だった乙坂鏡史郎(福山雅治)に未咲の死を知らせるため同窓会を訪れるものの、他界したことを伝えられず、逆に未咲と間違われて携帯の連絡先を交換するも旦那に見つかり携帯を水没させられます。そこから手紙書き始めた裕里。
そして鏡史郎と文通が始まります。裕里は未咲のふりをして手紙を書き続けていたものの、鏡史郎からの返信の1通が鮎美に届いてしまいました。鮎美は鮎美で夏休みに泊まりに来ていた 颯香 (森七菜)と考えて文通をはじめます。やがて、鏡史郎と祐里は出会い、未咲の死を知って、過去を辿っていきます。
そして自殺の原因となった元旦那・阿藤(豊川悦司)に出会い、思い出の地を訪ねると鮎美と颯香が。その出会いから未咲の話が広がって、高校時代の回想(鏡史郎=神木隆之介)、未咲(広瀬すず)、裕里(森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだします。手紙によって、未咲の死の真相、過去と現在、それぞれの初恋の思いを知っていくラストへ向かっていきます。
広瀬すず×森七菜の最強コンビ
映画の冒頭とラストに滝の画が映されますが、まさに澄み切った水が流れるかのように透明できれいな、そして力強さがあります。言うまでもなく可愛い二人。ワンピースや浴衣、パジャマ姿など二人が無駄話してるだけで2時間は観れそうな勢いです。
特筆するべきは森七菜
特に森七菜の”垢ぬけていない感”は秀逸。個人的なベストシーンは神木隆之介くんに自分が好きだったと手紙を渡すところ。
決して長いシーンではない。その後引きずるものでもない。だけど・・・
あの一瞬の寄りの画の涙ですべて持っていかれました。
切なくてギュッと締め付けられる感じを与えるには十分な前後の仕草、表情の伏線が素晴らしいです。
一番泣けるのは鮎美の出してきた手紙が入った箱
鏡史郎が未咲に線香をあげ、ふと鮎美が持ってきた『手紙の入った箱』。中には小説『未咲』の原文が入った手紙たちでした。大切に持っていたことを知った鏡史郎は号泣。当然こちらも号泣です。辛かったなら連絡すればよかったのに。自殺してしまっていることが最も悲しく感じるシーンでした。
松たか子と森七菜
2人は同一の役を演じていますが、芝居をどちらが合わせているのか、あるいはどちらも合わせていないのか、見事な統一人物の芝居です。ちょっとした仕草やクセが観ていてわかりやすく同じ人物であることを伝えてきます。
岩井俊二が導く女優たち
『四月物語』の松たか子
『花とアリス』の鈴木杏&蒼井優
『ハルフウェイ』(プロデュース作品)の北乃きい
『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華
全部めちゃくちゃいい女優さんですよね。どうゆう風に引き出すんだろう。また映像美にマッチするんですよね~。久しぶりに観返したくなりました。
まとめ
上映時間は長いですが岩井俊二作品では普通です。(笑)
個人的にはお気に入りの作品になりました。大切な人と観に行くと、きっともっと好きになる。家族と行くと、きっともっと愛おしくなる。とある「夏休み」に起きた出来事を通じて、切なくも温かな気持ちになれるとってもいい作品と言う意味でS級映画判定です。
最後までご覧いただきありがとうございました!別のレビューもぜひ観て下さいね。
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