【愛のむきだし】これぞB級オブB級映画。問題作にして傑作。

B級映画

どうもこんにちは!ミギーです。
【愛のむきだし】

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(C)「愛のむきだし」フィルムパートナーズ

こちらご覧になったことありますでしょうか。
衝撃のB級映画です。
なんと説明すれば良いのか。

DVDなら上・下あって4時間弱。
Amazonプライムなら1回で観れますが、どちらにしても4時間弱です。
人生の中でも本作は異物。ぜひ熱く紹介させて下さい。

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<超簡潔概要>

一行でいうと、変態映画です。

ネタバレ含む感想・考察

全員、愛がむきだしです。

不器用で、歪んでいて、どこまでも愛に飢えた登場人物たちの愛おしい物語。
「愛とは何か」を考える映画は多いけれど、
本作の表現は異次元、そして異質。

不器用に生きることしかできなくなった人しかでてこない。
時に邪悪で、時に無垢。
4時間が怒涛の展開です。
一つだけ大きく感じるのは、

アタマを使う映画じゃなく、
気持ちで受け止める映画である
ということ。

これから観る方へ

刺激強めです。
オープニングタイトルが出るまで圧巻の60分を使用。
ここまでがジェットコースターの登り坂です。
そこから一気に駆け抜ける3時間をお楽しみください。

観る人にとっては、深く、そして傷跡の残る映画ですが、
観る人によっては、何も残らない、空洞のような映画になるかも
しれません。

本作は親の愛情を十分に受けていない、
あるいは歪んだ形で受けてしまった若者が、
暴力や宗教、歪んだ性などへ走り、いわゆる普通の人生から逸れてしまうという、
割と身近にある社会の闇を切り取った作品でもあります。
ここの感じる人の違いはおそらく・・・
自らその経験があるか、身近にそうゆう人がいるというパターン。

または、

「なぜか泣きたくなる夜などがある」
「ふとした瞬間に寂しくなることがある」
といった情緒不安定な自分がある人のように思います。
私自身一人っ子で、一人で悲しくなったりすることもあるので、
本作への共感は深いというか、とても魅入ってしまいました。

ユウ(西島隆弘)の仕上がり方

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(C)「愛のむきだし」フィルムパートナーズ

アリも殺せなかった少年が、
人殺しも躊躇わない人間に変化するという、

劇的な心の動きをするのですが、
AAAならぬ(アイドルらしからぬ)主人公・ユウの憑依っぷりに感嘆しかありません。
ユウには3方向の愛があります。

父(渡部篤郎)、母、そしてマリア的存在となる“ヨーコ”(満島ひかり)。

母から「自らのマリアを探しなさい」と言われます。
これが愛の原点。母を思う純粋なユウです。
そして神父である父に、自ら罪をつくり告白することで、
親子関係を築こうとする歪みが、彼を盗撮のプロへと導いていきます。
(本作の変態ポイントとして、この盗撮がフォーカスされるのでゲテモノっぽくみられますが物語が進むとその誤解は解けていきます)

初めて出会うマリアが=“ヨーコ”(満島ひかり)。
今まで一度も女性に興奮したことのなかったユウが彼女にだけボッキすることで、
自らのマリアを見つけたと感じます。
そして、一途な思いが止まらなくなります。
印象的なのは海辺のシーン、そして精神病棟のシーン。

海辺のヨーコの告白、海を見つめる目線の哀愁、ただの変態じゃない。
自らのプライドと愛が含まれた変態の告白を全力でぶつけていく彼が印象的です。

病棟のシーンはとってもいいです。
最後多くの職員が追いかけてきたのは、
あれは社会のしがらみを表現していたのかなと感じます。
すべてを振り切ってヨーコに向かうユウが良かった。

ヨーコ(満島ひかり)の圧巻の演技

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満島ひかりという女優さんを明確に認知したのは本作。
強烈なインパクトです。
彼女もまた、愛に裏切られ、愛に飢えている女性の一人。
浮気癖の母親はコロコロ父親を変え虐待を受ける彼女。
そして彼女の性格は荒くれ、家族というものへの強い嫌悪感を抱くようになります。

一方で、好きな人への想いは純粋で一途。
その一途な思いも利用され、裏切られることで悲しみへ落ちていくのですが、
ユウによって救済されます。
というよりは自ら愛に気づいたという方が正しいでしょうか。
彼女を救ったのは愛であり聖書。
純粋なゆえに、宗教に染まり、歪んだ色に染まるものの正しい道を自らに問い、
答えを出したことがあのラストシーンへつながっていくのだと思います。

その時々の環境に翻弄される彼女の心のふり幅がハンパないです。

コイケ(安藤サクラ)の狂気

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常に体当たりで役に臨む姿といえば”寺島しのぶ”さんを思い浮かべるのですが、
本作では安藤サクラの狂気の演技に震えます。
彼女は歪んだ愛が歪んでしまったまま、結末を迎えることになります。
本作における圧倒的な違和感は「笑うポイント」のように感じていて、
怒り、悲しみなどの要素が多い中でも、彼女の笑うポイントは完全に歪んでます。
ひとによっては大きな嫌悪感を抱いてもおかしくない。
好きな人が困っている、葛藤している姿をみて最大級に興奮する姿は狂気。
育った環境と受けた愛情の歪みが戻らなかった、
でも根底には愛があった。
彼女はただ愛されたかっただけで、
しかし誰も彼女を救済することが出来ずに自らの世界である0教会の崩壊とともに、
崩れ去ってしまったとみています。
だから結末は無残で、悲しい。

ユウとヨーコを翻弄して、その存在感を抜群に示した彼女にはアカデミー賞助演女優賞など名誉ある賞を上げたくなります。

まとめ

主要の3人を中心に織りなされる本作はきっと一般的にはB級映画。
孤独を埋めるために、優しく包み込んでくれるような愛を教えてくれる映画とは正反対で、

ぶん殴られるような痛さ、内臓を抉ってくる痛さ、

刃物で切り刻まれるような痛さなど、

多種多様な痛みを持って襲い掛かってくる本作が、

私は大好きです。

なぜか?

痛くないと感じないから。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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