映画【新聞記者】これは実話か?ネタバレ感想とあらすじ。ラストシーンのセリフの意味は?日本アカデミー賞受賞の快挙も批判殺到の問題作!

S級映画

はいどうもこんにちは、ミギーです!
今回紹介する映画は【新聞記者】

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

第43回日本アカデミー賞作品賞をはじめ3冠達成

した作品です。 この作品が3冠受賞するなど誰が考えたでしょうか。
ハッキリって痛快です。

この作品は、実際に起こった『森友・加計学園問題』『伊藤詩織さんのレイプ問題』など問題に非常に近しいエピソードが展開されることから、

「これは本当なのか?嘘なのか?」
「ジャーナリズムとは何か?」
「私たちは何を信じればいいのか?」

といった様々な想像を掻き立てる作品になっています

他の日本アカデミー賞ノミネート作品の良し悪しはここで触れませんが、

現在の安倍政権を批判する意味、
本質的な作品と判断された意味、
日本アカデミー賞の権威を示す(あるいは逆)の意味、
多くの意味と思惑と考えが交錯した最優秀作品だと感じます。

若手女性新聞記者と若手エリート官僚の対峙と葛藤を描く社会派サスペンスという触れ込みですが、「権力とメディア」「組織と個人」のせめぎ合いを楽しみながら、

私達はどのように情報と向き合うべきかを考える意味で、非常に良作だと感じます。

正直、作風は好き嫌いがあると思います。 同じ年にアジア勢初の米国アカデミー賞を受賞した『パラサイト』はブラックユーモアを交えたよくできた作品でしたが、日本のメディアや権力問題に、真正面から向き合うように作ったイメージのため、重厚感があります。

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どんな話なのか?簡潔におまとめしました。
ネタバレありますので、ご注意ください!

結末ネタバレ~ラストのセリフは?~

ラストシーンで杉原(松坂桃李)はなんと言ったか?

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

「ごめん」と言いました。

そして、ハッと息を吸い込む吉岡(シム・ウンギョン)
その後のストーリーはご想像にお任せしますというパターン。
折れてしまったんですね。権力に。

私は共感しました。自分自身もサラリーマンで小さな子供がいて、家庭があります。ここまで深く考えて決断していないかもしれません。一度は神崎に報いるために自分の実名を出していいとまで言ったものの、この物語の中の真相はまたしても闇の中という結末でしょうか。

ごめんの意味

杉原の恩師、自殺した神崎は「俺のようになるなよ」と言い残して自殺しました。
権力に屈して言いなりになった結果、とんでもないことを引き起こしてしまった、後戻りできないことをしてしまった神崎。

「俺(神崎)と同じような道」に進んでしまうことに、
ごめんと謝ったのです。
吉岡と、神崎に。

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

産まれたばかりの子供がいて、幸せな家庭がある。しかし、恩師である神崎の死を無駄には出来ない。この映画のラストシーンの先に、家族に悲しい思いをさせないように、権力に逆らわないように選んだ道の先に、神崎と同じ末路が待っていないことを思うばかりです。

新聞記者のネタバレ・あらすじ

「国を守るため」という大義のもとにある内閣情報調査室。 現政権に不都合なニュースをコントロールする官僚が杉原拓海(松坂桃李)

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

「真実を追求する」というジャーナリズムを持ち、 ジャーナリストの父親が誤報のために自殺した背景を持つ、東都新聞社会部の若手女性記者・が吉岡エリカ(シム・ウンギョン)

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

本来出会うことのことのないはずの2人が、神崎(高橋和也)の自殺によって交じり合います。 ある日、東都新聞に機密文書がFAXで送付されてきます。頭紙にはサングラスをした羊の絵。

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

内容は【大学新設計画に関する調査】でした。通常大学の新設に関しては文部科学省が管轄なのですが、内閣府の仕切りであることに違和感を感じた吉岡は調査を開始。すると内閣府の神崎という男が浮上してくるものの、自殺をしてしまいます。

一方で外務省出身の杉原は、当時上司であった神崎とバッタリ会い久々に飲みにいきます。「俺みたいになるなよ」という何気ない一言を残して、その後自殺します。神崎は死ぬような人間ではないと知っている杉原は独自に調査を進めます。その中で吉岡に出会います。立場の違いを超えて調査を進める2人の前に、

『新設される大学では生物兵器が研究される』という衝撃の事実

がわかります。神崎は、その責任者になったことを知って追放されたのです。父親のジャーナリズムを継いでいる吉岡は公開のための記事を制作。杉原もバックアップします。新聞社に圧力がかかり公開が危ぶまれますが、

杉原が「自分の実名を出していいから報道してくれ」と懇願。

最初の記事が出ます。次に実名公開の記事を公開するはずが・・・

杉原の上長から出世の道と家族の安全を提示され、家族の安全のため、自分の保身のため、吉岡にごめんと伝えて、この作品は終わりです。

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

新聞記者の感想・ 考察

ジャーナリズムとは何か?

ジャーナリズムをWikipediaで調べると
「事実伝達のほか、それについての解説や論評も含む」とあります。

新聞記者を観て、
・事実の伝達とは?
・解説は評論は誰に向けた何のメッセージか?
受け取る私たちが考えなければなりません。

また、メディア側も考える余地が十分にあると思います。

作品としてはあと一歩な気もしていますが、よくまとまった作品と感じます。
アメリカをはじめ海外では実話をもとにした製作映画は数多くあり、
バイス』と『記者たち』などはエンターテイメント要素も取り入れ映画として成立させています。

この物語で彷彿させるのは『モリカケ問題』『伊藤詩織レイプ問題』ですが、ここの真偽を議論しようというよりは、

世の中の報道には真実に様々な主観と偽造、思惑などがブレンドされて発信されているということを今一度認識するべきという作品でした。

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

随所で感じるのは、

『人が一番怖い』ということ。

「メディアが言っているから」
「みんなが言っているから」
そんな大衆心理が重圧となって主人公に襲い掛かっています。この見えない大衆の一つ一つが人であることが怖いです。しかも、根拠”っぽいもの”を掲げて言ってくるのでまた厄介なところです。

 ©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

これは実話か?~新聞記者で取り上げられている事件~

実話ではないとされています。

しかしながら、極めて事実に近い問題がピックアップされており、ここが物議を醸しているところ。簡潔におさらいします。

『森友・加計学園問題』

モリカケ問題と言うことで話題になりました。時期が近いので一緒になっていますが、一応別々の問題です。

森友学園=本来9億円ほどの不動産を1億円で森友学園は調達。安倍首相の忖度では?
加計学園=52年間認められていなかった大学の獣医学部新設の事業者に認定。加計理事長が安倍首相の友人であったため忖度では?

超要約するとこんな問題です。

新聞記者では加計学園問題に寄せていて、本来文部科学省管轄の大学新設が内閣府主導で進められている。調べてみると生物兵器を研究する施設だった。そこに国民の税金が投下されている。というストーリーになっています。

また自殺した神崎ですが、森友学園への国有地売却で公文書改ざんに加担させられた財務省近畿財務局の赤木俊夫さんと重なるのは私だけではないでしょう。

非常に現実と強くリンクしたメッセージが盛り込まれています。

『伊藤詩織さんのレイプ問題』

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、『総理』『暗闘』など安倍首相の著作を上梓している山口敬之に強姦されたとして損害賠償を求めた問題。セクハラ被害者を支援する「#MeToo(私も)」運動があったことは記憶に残っています。

新聞記者では、女性の弱い立場について吉岡が言及するとともに、訴えた後に起こるセカンドレイプ問題にも触れています。

性被害にあった女性は、被害の証明が非常に難しいとされています。 2017年の政府の調査によると、日本の強姦被害者のうち警察に届け出たのはわずか4%。暴力や脅迫があった、抵抗的出来なかった状態であることを証明しなければならず、事後ではそれが非常に難しいことが理由です。わかりやすく言うと「昨日電車に乗ってた時に痴漢をされたが、やっぱり嫌だったから訴えたい」と思っても、かなりの言いがかりになってしまいできないのと同じで、痴漢の場合は現行犯ですが、薬で眠らされたなどの場合、寝ているので証明できません。

レイプが事実かどうかはもはや本人たちしかわかりません。ただ、真偽はどちらだとしても、声を上げることで起こるセカンドレイプ問題は真意だと感じました。

羊の絵の意味

羊の絵は、神崎が自分の子供のために書いてあげた絵の一枚。元々は羊がほほ笑んでいる絵でした。しかし、その羊の目を盲目にして告発した。

神崎は、何が正義で何が悪なのか見えなくなってしまった。

そんな悲しい絵のように、私は感じました。

巻き起こった賛否両論

そもそも主演の松坂桃李は制作会社の役員が、所属事務所の社長だったから起用、主演女優は日本人女優が作風を理由に軒並み断られ、しがらみのない韓国人女優・シム・ウンギョンが起用されたという話です。(しかし、これが日本アカデミー賞最優秀主演男優&女優賞を獲得!)

右だ、左だ。興行収入は歴代日本アカデミー賞最優秀作品とは比較にならないから、安倍政権への批判の意味で受賞した。ジャーナリストの気取りの戯言。ただ面白くない。真実のドキュメンタリっぽい作風が気に入らない・・・などなど、検索すると多くのコメント。

これって、管理人の考えるいい映画の定義に当てはまっています。

毒にも薬にもならない映画が一番つまらないと思っているのですが、観る人によって毒か薬にはなっている印象を受けました。特に批判する人の口調や声は強めに感じます。

そもそも日本では、政治を知ろう、関与しようという風潮がそもそも低め。この作品をきっかけに、政治や政権に興味を持つ人が、よく自分で考えて情報を受け取る人が一人でも多くなってほしいと思います。

なお、原作があります。深く知りたいという方はこちらもどうぞ。

個人的なMVPは本田翼と田中哲司

©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

第43回日本アカデミー賞の最優秀男優・女優賞は松坂桃李とシム・ウンギョンでした。

しかし、

個人的な本作のMVPは本田翼と田中哲司。

本田翼がですね・・・抜群に可愛く、政治や旦那の仕事に全く介入しない。ここがイイです。純粋に温かな家庭を望んでいる。産まれてきた命を愛しく思い、旦那への愛情も忘れない。

本田翼の存在が、ラストシーンの「ごめん」の説得力をグッと高めています。

田中哲司はさすがですね。作品全体の照明の感じも手伝っていますが、魔物のような存在が後ろに感じられる、威圧的な話し方が『逆らえない、逆らった時の絶望感』を際立たせています。

この2人なくしてラストシーンの説得力はないでしょう。

まとめ

『いま、あなたに問う』という予告編の通り、

この作品は私に、そしてあなたに問われています。

真実はどこにあると思いますか?
政府は正しいと思いますか?
逆にジャーナリズムは正しいと思いますか?

そして、、

この作品をどう受け止めますか?

ニュースは『どこを切り取るのか?』によって全く見え方、伝わり方が違うのが面白いところです。フィクションとされていますが、限りなくノンフィクション”のように”見えるのが、本作の特徴であり、作品の意欲を感じる部分であります。

©2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

『新聞記者』って最高!!などと手放しで評価される作品ではないと思いますが、普段(と言うよりほぼ毎日)自分たちが触れ、受けている『報道』や『情報』をキチンと自分で考えるという意味で、大変な良作と思います。

残念ながら歴代日本アカデミー賞の中でも興行収入は低く、受賞報道の扱いも小さく、政治色の強い本作は地上波の放送も見込めないため、大きく拡散される機会はないでしょう。

映画ブロガーとして、『このような作品がある』と言うことを知ってほしい。だから本作はS級映画とします。

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最後までご覧いただきありがとうございました!別のレビューもぜひ観て下さいね。

コメント

  1. 小山 より:

    いやー、こんなZ級映画が日本アカデミー賞を受賞するとは思いませんでした。まあ、日本アカデミー賞が日本アカデター賞になっただけですけどね。協会はもう既に真っ赤でしょう。

  2. […] 『新聞記者』でもそうですが、本田翼は主役ではなく、名脇役としての存在感が大変輝いているように感じます。 […]

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