どうもこんにちは!ミギーです。
今回は『さよならくちびる』を紹介します。
タイトルにも書きましたが結構、いや、
なかなかにいい映画です。
題材そのものは、なんか見たことあるかもって感じですが、
実際の中身がいい。
語り過ぎない、でも伝わってくる、不思議な作品です。
これぞ映画。日本映画もまだまだいける!
ストーリー
2人の女、1人の男。
三角関係に揺れたハル(門脇麦)とレオ(小松奈菜)のユニット、
“ハルレオ”は解散が決まり、マネージャーのシマ(成田凌)と最後の7都市ツアーに出かける。
ハルはレオに恋して(同性愛)、
レオはシマに、
シマはハルに、という三角関係。
7都市ツアーを回り、最後のライブが終わったところで解散を約束。
3人は他人になり離れ離れになってしまうことになります。
ツアーを回る中で錯綜する3人の思い。
果たして、物語の結末は・・・?
ストーリーポイント
ハル(門脇麦)→レオ(小松奈菜)が好き
レオ(小松奈菜)→シマ(成田凌)が好き
シマ(成田凌)→ハル(門脇麦)が好き
という三角関係。(でも恋愛モノってことじゃない)
デュオ“ハルレオ”は解散まで(たしか)2週間ほどのツアーに出かける
いろいろな思いがぶつかり合って、3人はどうなる?
解散か、継続か、さて結末は?
(こうゆう感じです)
ネタバレあり・感想×考察
『さよならくちびる』は、
原作やベースとなったエピソードもない塩田明彦監督のオリジナル脚本だそう。
監督・脚本・原作を一貫してやる人って、
西川美和とか北野武とか、、、そう多くはない。
しかも、売れていない(売れるかどうかわからない)原作って、
お金が(製作費)出にくいんですよ。総じて。
つまり脚本ありきではなく、
役者かアーティストを立てる前提で本作の制作は進んでいた
ものと推察します。
というわけで、小松奈菜×門脇麦×成田凌という、
もう絶妙にイイ感じのキャスティングになっているわけですね。
成田凌ってのがイイ。
スタイリストが伊賀大介だから、
ゆるっとしたあの衣装もいい感じに見えました。
音楽も秦基博×あいみょんという売れっ子の二人。
だからなのか、余計なエキストラが少ないように感じました。
ガソリンスタンドに怪しげな男が一人ポツン・・・
(やたら見すぎじゃなかったか?w)
コインランドリーにも怪しげな母親が一人ポツン・・・
(やたら見すぎじゃなかったか?w)
3人の最後の食事シーンに至っては他の客一組もいないし、
喫茶店も他の客がいない。
車の中のシーンも多くて、
とにかく3人の芝居に掛かっている映画であったと思います。
ちゃんと音楽シーンになってる
これまでバンドなど音楽をテーマにした映画の残念なポイントとして、
「役者がちゃんと楽器弾いてないじゃん問題」
は大変深刻な現象と感じておりました。
『NAN●』(主演:中島美嘉)とか『BEC●』(主演:佐藤健)とか。
あれは観ている方として音と映像があっていないと違和感というか冷めます。
しかし本作は、
・歌いだしから二人の口の動きも合ってる
・アップで表情を抜かれても音楽ときっちり合ってる
とにかくバッチシ!!
歌の上手い下手ではなく、すんなりと観ることが出来ました。
デュオって、結構ハモったりして変化を出してきそうなものですが、
敢えて同じ音程で歌い切る曲が多かった。
しかし、ハルとレオの声質がそもそも違うので、
なんかハモってるように聞こえるというか、
特にサビのあたりのボリューム感、声の厚みがとても心地よかった。
秦基博とあいみょん
歌もまたいいです。
二人のアーティストが楽曲提供していますが、
どちらも映画に溶け込んでいて、
なんら違和感なく耳に入ってくる感じがスゴく良かった。
注目はやはり歌詞。
脚本との調和具合がハンパないです。
歌に思いを込める、なんてよく聞くフレーズじゃないですか。
本作、非常によく思いが表現されております。
エンディングテーマとかだけ、有名アーティストが提供して、
いざ聞いてみたらなんか作風と歌詞も音楽も違うな・・・なんてよくある話。
そういったこと、一切ございません。
むしろ音楽と歌詞、その意味に注目してほしいです。
音のない歌詞
本作で3回ほど、ハルの書いた歌詞が画面に出てきます。
おおよそ運転席からの道路のシーンなどに歌詞が表記されるのですが、
一切の音が流れません。
ハルの心の中を切り取ったであろうフレーズで、
歌詞が思い出せないのですが、
深い孤独を書いたものが多かったように思います。
個人的な考察ですが、ハルにとって音楽とは自分への救済。
歌詞を書き、音楽を与え、レオの声と交わることで、
過去の自分、今の自分を受け入れるための重要な作業なのではないかと感じました。
後述のシーンと重なりますが、ハルは、レオになりたかった。
今もこれからもそうはなれないけど、音楽が繋いでくれる。
だから、歌詞の意味を大きく取ってほしい、
そんなシーンに思えました。
よく考えたら、歌詞だけドン!みたいな映画って少ないかも。
それだけ、音楽映画としての意識が高い映画なのだと感じます。
肩たたきのホームレス
路上ライブをしていたら、
パイプ椅子を持ってきて「肩たたき10分100円」のサービスをはじめたホームレス。
きっと誰も座らない。
と思いきや一人の水商売っぽい女性が座った。
ハルには、その女性がレオに見えた。
自分にはできないこと、あるいはやりたいけどできなかったことを、
レオはいとも簡単にできる。
そんなレオに魅かれたハルの重要なエピソードです。
工場のシーンからのこのシーンで、ハルにとってレオの大きな存在理由が描かれていて、
このシーンだけでレオへの想いが痛いほど伝わってきてハッとした。
レオのキスの色っぽさ
シマにもハルにも、乱暴なキスなんだが画になるという流石の小松奈菜様。
いつもDV男に引っかかってしまう残念なレオであるが、
ハルとシマの2人といることで、彼女の居場所を作っている。
本人もそれを自覚していながら、手放すことにためらいを感じている。
レオは、ハルレオの曲を作詞しない。
でも、歌は見事ピッタリに歌い切る。
ハルの歌詞が落とし込まれているし、
ハルがレオに向かって書いた詩もあるように見受けられる。
レオの弱さや心のもろさ、またそれによる軽率な行動もすべて内包して演じ切る小松奈菜はもはやスゴイ女優さんに成長したとしか言えません。
もっともっとレオを見ていたいと感じるすんばらしい演技でした。
「さよならくちびる」の歌と物語のシンクロ
ラストシーンは成田凌くんの
「はぁ?!!ありえねーからな!!!」
が炸裂。
フィルマークスでの評価の低い方は総じてこのラストに拍子抜けたに違いない。
これ、実は本当によくできています。
<普通の映画で本作のラストをつくるなら>~ミギーの妄想~
車を出ていくハルとレオ。
岐路につく二人。
ツアーでのいざこざ、出会ってからのこれまで、待ってくれているファンの人たち・・・
たくさんの思い出が走馬灯のように駆け巡る(みたいなシーンが入って)
ふと、頬を流れる涙。
“そうだ、私、二人の事が、好きだ”
すべて受け入れて、一緒にまたはじめたい。
だから・・・もう一度『ハルレオ、結成』
~エンドロールへ~と、こんな感じでしょうか。
しかし実際の映画は、
レオ「私も。なんか食べに行こうよ」
シマ「はぁ?!!いや、ねーからな!そんな、、解散しませんでしたとかないからな!!!」~エンドロールへ~
一切の説明のセリフ、回想シーンがございません!!
それゆえ唐突のよくわからない感じに受けるところでありますが、
答えは“歌の中”にあります。
すべては、歌に「さよならくちびる」に込められているんですね。
その証拠に、「またバンドやろう、3人で」的なセリフがありません。
ましてや、「再結成する」とも言ってません。
ハルとレオは黙って車に乗り込み、お腹が空いたというだけです。
でも観た感じは完全な“元サヤ”(笑)
この考察をとっても深く切り取られているレビューがありますので、
特に本作を通じて音楽について深堀したいという方、
ぜひご覧ください。
ナガ@映画垢さん
「さよならくちびる」が”音楽映画”として素晴らしいと思うのは、
観客に対してちゃんと答えを”音楽”で示してくれるところ。
映画の中で核心に迫らない程度に提示されるハルの過去。
その答えがセリフや映像のどこにもなく、
「さよならくちびる」という歌の中にしかないんです…。
レビュー↓
https://www.club-typhoon.com/archives/2019/05/31/goodbye-lips.html
感動のCDはこちらをぜひ。
最後ツッコミどころを少々
個人的な意見ですが、タバコ吸う女性が嫌いです。(笑)
常に違和感がありましたが、
小松奈菜ちゃんは多分嫌いなんでしょう。
肺に入れてないんじゃないかというシーンがいくつか・・・(笑)
タバコはいただけないが酒は好き。
キリンクラシックラガーが飲みたくなりましたね。
同然その日の夜は一缶行っちゃいました!(笑)
あと、チューニング。
楽器取り出して、耳でチューニングしますか?
しませんよ(笑)チューナー使えよ!と突っ込んでしまいました。
そして、ファンの二人組。
追っかけの女の子二人組の歌が異様に上手い。
ビックリしました。
以上です!
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フィルマークスもやってます。
ニックネーム:ミギーの左手
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