はいどうもこんにちは、ミギーです!
今回紹介する映画は【蜜蜂と遠雷】
原作は本屋大賞受賞。恩田陸作品。
良作です!
非常に重厚感ある原作を2時間の尺に収めるということで、
失敗すれば大批判殺到間違いなしとも言える本作を、
見事にまとめてきました。
当然、本来であれば4人のピアニスト一人一人に焦点がもっと当たり、
描写がなされるべきところではありますが、
映画ならではの特性を活かした、
感性に訴える感じの仕上がりになっています。
その分、賛否両論あることは承知で、私は”賛”を贈りたい。
特筆するべきは松岡茉優。
『勝手にふるえてろ』、『万引き家族』など抜群の存在感を見せた彼女が、
今回も主役級ながら、きちんと周囲と調和が取れた演技で、
もうなんていうか手放しで褒めてよいレベルではないでしょうか。
というか主役4名、全員はずれなし。
この作品は、
デートでOK!夫婦でOK!友人や家族でOK!
劇場でピアノ演奏やオーケストラ演奏も聴けるので、そうゆう意味でも楽しめる一本です。
早速レビューいってみます!
ネタバレ気味なので注意して下さい!
マイベストシーンは『月夜の連弾』
個人的な胸熱ポイントは、まずここです。
これ、普通にラブシーンです。
手もつながない、キスもしない。でもラブ×ロマンス。
肌と肌が触れ合うよりも、
音と音で触れ合うことがこんなにもロマンチック
とは思わなかった。
夏目漱石は「I love you」をこのように訳したそうな。
”月がきれいですね”と。
ストーリーは少し目をつぶろう
原作では文庫本で800ページを超える長編です。
4人の背景や細かな描写、接点が丁寧に描かれており、
かつ均衡が見事に取られているという名作なのですが、
映画の場合は松岡茉優を軸にした”神童の復活”を描いているような構成です。
映画用の脚本とはいえ2時間でどうやるんだよ!と思いましたが、
うーん、ここは人によって分かれます。
私は好き。と申し上げたい。その理由をお話します。
松岡茉優をはじめ役者にハズレなし
冒頭で特筆しちゃってますが、松岡茉優をはじめ役者陣でしょう。
ここに尽きます。
大衆向けなのでわかりやすい説明セリフもなんだかんだあります。
しかし役者の『目線』と『表情』が、
根底的な思いを内包しているように、私は感じられました。
生活者の音楽の追求、
作曲の出来るピアニストへの夢、
亡き天才ピアニストを目指す王子、
世界を鳴らすために生まれてきたはずの天才、
それぞれの背景が少ないシーンながら断片的に伝わってきます。
そして、見応えは演奏シーン。
さすがに手元と上半身は映らないよね。演奏が上手すぎる。
カット割りやカメラワークが多彩な分、
どうしても『本当に弾いているのか?』が気になってしまいますが(笑)
それらの雑念を吹き飛ばすほど、
松岡茉優のプロコフィエフの3番が良かった。
なんという躍動感と”目”。前後のシーンと合わせても圧巻としか・・・
もう語彙力で解決できないほどの演技力でした。
あと触れておきたいのは、鹿賀丈史と平田満ね。
この名わき役っぷりがいい。
鹿賀丈史という指揮者を乗り越えなければ優勝はない
というしゃべらなくてもわかる存在感と、
7年の時を経ても包み込むような優しさを持つ、
安心感抜群の存在。
この2人なくして、映画の成立はありえません。
ブルゾンは。。。まぁ(笑)
蜜蜂と遠雷の意味とは
<直球解説ver>
鈴鹿央士が演じた風間塵は『蜜蜂王子』の愛称で親しまれていました。
遠雷は本作で審査員や参加者、コンクールのオーケストラ演奏者も含めて、
亡き天才ピアニスト・ホフマンの存在を表しており、
ここの対比と言うのが一般的でしょうか。
<ミギー解釈ver>
野山を飛び交う蜜蜂の羽音、遠くの空に轟く遠雷。
そのすべては音楽であり、あなたが鳴らすもの。
という意味であると感じました。(普通かw)
ラストはなぜマサルが1位なのか?
原作通りと言えばそうなのですが、
正直順位つけない方が良かった気もします。(笑)
コンクールの順位は、
1位 マサル
2位 栄伝亜夜
3位 風間塵
となりました。
さて、私なりの考察の前に、
恩田陸先生はですね、インタビューでこう語っています。
正直誰でもいい
おおおおおおーーーーーーーーい!!
優勝者ではなく過程が重要という意味ですが、なんか理由が欲しいですよね。(笑)
私の考察はこうです。
マサルのピアノが、
最も多くの人を取り込めるから。
風間塵は劇中に
「たとえ世界に1人になってもピアノを弾く。それくらい好き」
と語っています。
それは誰のための音楽なのか?自分ですね。
栄伝亜夜の場合はどうでしょうか。
きっと彼女は、自分とお母さんのための音楽なのだと思います。
少なくともコンクールの時点では。
マサルの場合はどうでしょうか。
クラシックという概念をビルドして、
”多くの人のための音楽”という意味には捉えられないでしょうか。
審査員の贔屓とか考えればきりがないですが、
ピアノと言う素晴らしさ、クラシックと言う世界を多くの人に伝えられる人、
甲乙をつけることすら憚れる中での決断は、
誰のためのピアノなのか?という基準で考えると、
私はこの順位ではないかと考えました。
まとめ
音楽に圧倒されました。
映画館であのクラシックを堪能できるだけでも悪くないです。
家に帰って、プロコフィエフ2番と3番を聴きました。
YouTubeに辻井伸行さんがウィーンで弾いている動画がありますが、
めちゃ涙出ました。隣にいた嫁がなんで泣いてるのかとびっくり。
映画でもそうですが、
音楽弾いてるだけのシーンが泣けるんですよね。なぜか。
以前『ホットギミック ガールミーツボーイ』のレビューで、
映画とはいったい何だろうか。
心が動くことを楽しむ、 と定義するならば本作は傑作である。
と語りましたが、
本作もこの定義で語るならば、傑作の部類であります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
次のレビューも見て下さいね。
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