『この世界の片隅に』は、戦争を”自分の事”として正しく教えてくれる名作!広島県出身・被爆3世のミギーが徹底考察

S級映画

はいどうもこんにちはミギーです!
今回紹介をするのは『この世界の片隅に』

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本当にいい作品です。

私が観たのは長編アニメ映画ですがドラマ化もされていて、
多くの方が認知しているのではないでしょうか。
誰に勧めても恥ずかしくありません。
早速レビューをどうぞ!

マンガもあります!(上・中・下)3巻

他の映画やアニメと一線を画している

いわゆる戦争モノのジャンルとなるのでしょうか?
メッセージは多くあります。
『戦争の悲惨さ』
『日常生活の”普通”が継続することの難しさ』
『自分の居場所を見つけることの大切さ』
 
しかし、私が感じる一番の本作の功績は、
『戦争の時代を生きていた人々の存在』を、
今を生きる人に”身近に”感じさせるツールになる。
という点です。
 
広島県出身(0歳~18歳まで)の私は、
いわゆる『被爆3世』です。
祖父が原爆投下直後の広島に住んでいました。
(当時の祖父の奥さんは即死。後妻の間に生まれた4男が父です。
 
正直、自信を持って言えます。
本当にいい映画です。
自分の子供が大きくなったら観せたい映画は数多くありますが、
本作は間違いなく見せます。

メッセージが秀逸

本作は太平洋戦争時代の広島県呉市が舞台ですが、
決して”戦争映画”だけでくくるわけにはいきません。
どのような時代であっても、自分がいて家族がいて、大切な人がいる。
貧乏だったり裕福だったりはあるけれども、
自分の世界でどう生きるか、また居場所をつくるのか、
という普遍的なテーマです。
戦争という”背景”はありますが、
重要なのは主人公・すずの生き方であり、
その環境の変化や感情の動きに心が震えます。
政治的思想や背景というバイアスがなく、
表現されている本作は秀逸と言っていいです。
鑑賞後、様々な人のレビューを観る中でも、
特に私の感想に近く、かつ深く考察されたレビューがありましたので、
ここで紹介させていただきます。
 
しのさんのレビュー
映画『この世界の片隅に』感想 〜誰かが誰かの居場所になること【ネタバレ】

背景となる戦争描写には子供の頃教わったことが詰まってた

広島県下の小中学校では夏休み中でも、
8月6日は登校日というところが多いです。(一時廃止になり、2017年から再開)
何をするのかというと原爆投下時間の8時15分から、1分間の黙祷。
その後道徳の授業という名の、戦争を体験した方の話を聞いたり、
原爆のビデオを観て帰ります。
夏休み前には千羽鶴も折ったりした記憶が・・・
(広島県出身の人は折り鶴できる人が多いように思う。)
 
「夏休みに黙祷して戦争の話聞きたい」なんて小学生など皆無だと思います。
私も子供の頃は面倒としか思わなかったし、
小学生の頃はよくわかっていなかったです。
でも、大人になって、家庭を持ち、本当に良かったなと思います。
 
子供の頃聞いた、教わった、当時の描写がよく映し出されている映画です。
本当に監督さんや脚本さんが、下調べしたに違いないと確信できます。
 

原爆の描写がリアル

クライマックスで原爆が落ちた後に、
ガラスの破片が腕に刺さり、
皮膚は焼け、虫が湧く母親、
そして放射能の影響ですずの妹に斑点ができるシーンがあります。
 
これすべて原爆の”威力”を表現していて、
原爆投下時には約14万人がなくなったと言われているのですが、
原爆による死亡原因は主に3つあります。
「爆風」=風で飛ばされたり、風で窓ガラスなど割れ、破片が飛び刺さる
「熱」=爆弾の熱で皮膚が焼け爛れる
「放射能」=広島の原爆はウラン(核)原料のため濃い放射能が撒き散らされる
で、最後のお母さんは「爆風」と「熱」。
すずの妹は「放射能」の後遺症を表されています。
サラッと流れているシーンが実は結構重い内容だったりするのですが、
そこが本作のいいところ。
幼いころから教育を受け、祖父の話を聞いてきた自分は、
原爆投下後のシーンから号泣。
涙が止まりません。
今までの戦争映画、
例えば『永遠の0』や『硫黄島からの手紙』などありますが、
そういった映画の涙と種類が異なります。
 
いつの時代も、
『家族が笑って、暮らせればいい』という
メッセージがコアコンセプトであり、
それを奪った戦争がどうだこうだの議論をする映画ではありません
しかし、背景がわかると、景色が変わります。
ぜひ、原爆記念資料館の見学をはじめ、
NHKスペシャルなど多くの動画が残っているので、
原爆に少し触れて本作を見直すと、
めちゃくちゃ理解が深まると思います。
 

すずちゃんの環境のせいにしない強さ

 知らない家に嫁ぎ、知り合いも誰もいない、
むしろ姑さんにいびられながら過ごす日々。
そこに最初、居場所はありません。
でも、すずは決して環境のせいにはしません。
自分の言葉で、自分の感じたことを伝え、
自分の大切なものを意識せずとも理解し、自分の足で行動します。
思いやりがあり、素直。
大和撫子な主人公が愛おしいです。
 
また過去の戦争映画では”大日本帝国バンザイ”といった、
愛国心を押し出したキャラが存在しがちなのですが、
本作ではそこはほとんど表現されることがありません。
「仕事だからやらないと」
「生活掛かってるから頑張らないと」
と”生きること”を中心に回っています。
 
8月15日、終戦のラジオを聞いたすずは、
「何しとるんね、最後まで戦わんかい」
と怒るのですが、一瞬当時の日本の教育傾向を踏襲したのかと思いきや、
実はそうじゃない。
自分の家族や晴美を犠牲にして頑張って継続してきたものが、
終わることへの憤りなのでした。
でも、言葉だけ聞くとちょっと曲解しそう。

映画を観て、自分の家族に当てはめられる本作の素晴らしさ

例えば『永遠の0』を子供に観せても、
特攻という行為が現実離れし過ぎていて伝えにくい上、
きっとイメージが湧きにくい一方で、
本作は、
「家族で食卓を囲んで、困難があっても思い合う家族がいるのはいいことよね。」
と言った会話から入れます。
「でも、戦争じゃなくても、悪い人が意地悪してきたり、
大きな地震が起こってみんなが食べるものに困った時、どうする?
と考えさせることが出来るのがいいなぁと感じます。

親が戦争について少しでも話せるなら、
「例えば、ここのすずちゃんの世界はね、本当に起こったことで、
まだ日本じゃないところでもたくさん起きているんだよ。」
と、きっと映画を通じていろいろなことを伝えられるような気がします
 
きっと広島だけではなく、多くの教育機関で今後使われそうな予感。
私も未来のこどもにきっと伝えていきます。
 
戦争の悲惨さや大切なものを奪ってしまう暴力性を伝えるだけではなく、
どのような環境であっても、忘れてはいけないもの、
いろいろ2時間の尺では入らないくらい詰め込まれていますが、
一見の価値は高い映画です。
 
ぜひお一人でも、家族でも、観て何かを感じて下さい。
 
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